コラム

インボイス登録の期限延長!そのメリット・デメリットを改めて解説します!

インボイス登録の期限延長!内容やメリット・デメリットを把握しよう

2023年10月1日に、消費税のインボイス(適格請求書)制度がスタートします。政府は当初、10月にスタートするためには2023年3月31日までにインボイス登録の申請を求めていました。しかし、登録者数が少ない・制度が十分理解されていないなどを理由に、9月30日まで延期がされたのです。

 この記事ではまだインボイス登録を行っていない事業者の方に、インボイス制度のおさらいと、インボイス登録をすべきかどうかなどに参考になる情報を述べていきます。

登録期限延長!インボイスを考える方が知っておくべきこと

当初インボイス登録の申請書提出期限は2023年3月31日まででしたが、9月30日まで期限が延長されました!まずはこれから登録をする場合に、何をすればいいのか、知っておくべきことを記載します。

登録手続きの手順

登録には、所轄の税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録通知書の交付とともに13桁の登録番号を取得する必要があります。

登録申請をするには、e-Taxによる登録手続きと書面を税務署に提出する方法があります。書面で登録申請をする場合は、国税庁のサイトからダウンロードが可能です。e-Taxによる登録の場合も国税庁のサイトからアクセスできます。

9月30日までに済ませる|いつまでに申請すればOK?

税務署の処理時間を考慮すると書面手続きは2か月、e-Taxの場合でも約3週間ほど時間を要するようです。したがって、遅くとも書面の場合は7月末まで、e-Taxの場合は8月中旬を目途に申請するとよいでしょう。

なお、この処理時間は23年2月末までの全国の平均処理時間です。期日が迫ってくると、ギリギリで申請する方が増えたり、税務署の地域差が出たりといった不確定要素もありますので事前に所轄税務署に確認しましょう!

登録が間に合わなかったときの対処法

仮に10月1日に間に合わない場合、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受けた場合、登録日から課税事業者となる経過措置が設けられています。

たとえば、消費税免税事業者の個人事業主が令和5年10月以降、12月31日までにインボイス登録を実施すれば、10月1日にさかのぼって登録したと見なされます。この経過措置の適用を受ける場合、基準期間の課税売上高にかかわらず登録を受けた日から課税期間の末日までの消費税の申告が必要です。

期限延長のインボイス登録をする前に!消費税の基本をおさらい

インボイス登録がまだの事業者の方に向け、ここでは消費税の仕組みをおさらいし、その後インボイス制度をさらに深く見ていきます。

消費税の求め方

消費税は売上のときに受け取った消費税額から、仕入れの際に支払った消費税額の差額を申告します。

仕入れ時に支払った消費税の差額が控除されることを「仕入税額控除」といいます。「仕入れ」と「消費」はどちらも購入という視点では同じ行為です。しかし、経済活動の一貫としては異なる質の物であるとみなされます。

仕入税額控除は外部の事業者との取引で支払った課税仕入れが対象です。

消費税の課税事業者と免税事業者

消費税はすべての事業者が納付しているわけではありません。課税売上高が1000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されます。

課税事業者は、受け取った消費税から仕入税額控除を差し引いた分の消費税を国に納税する義務があります。一方免税事業者は、差額が残った場合でも、消費税を納税する義務はありません。

規模の小さい事業者には、納税すべき消費税額の計算等の事務負担などを考慮して納税義務を免除しているのです。

消費税と事業者のキャッシュフロー

上述のように、課税事業者は受取消費税 > 支払い消費税 の場合は差額を納税する義務があります。しかし、支払い消費税の方が多かった場合は、支払い過ぎた消費税の還付を受けることが可能です。

【課税事業者の場合】

受取消費税 > 支払い消費税差額を納税する義務がある
受取消費税 < 支払い消費税支払い過ぎた消費税の還付が受けられる

一方、免税事業者はこの反対で、受取消費税 > 支払い消費税の場合の差額を支払う義務がありません。

【免税事業者の場合】

受取消費税 > 支払い消費税差額を納税する義務がない
受取消費税 < 支払い消費税支払い過ぎた消費税の還付を受けることはできない

このように支払い消費税額が多かった場合でも、還付は受けられないというデメリットもあります。

消費税の課税取引と非課税取引

消費税のかからない取引(非課税取引)の主なものは次のとおりです。

  • 土地の譲渡(建物は課税取引)
  • 貸付け
  • 社会保険医療
  • 介護保険サービス・社会福祉事業
  • 一定の身体障害者用物品の譲渡・貸付
  • 一定の学校の授業料、入学金、入学検定料、施設設備費
  • 教科用図書の譲渡 など

医療機関においては、公害健康被害や労災保険に基づく療養、社会保険診療収入(いわゆる保険診療)は非課税取引です。しかし、健康診断・人間ドック・美容外科等の自費診療・臨床検査収入・差額ベッド代・売店収入などは課税取引の対象です。

登録期限延長のインボイス|消費税の取り扱いをわかりやすく解説

インボイス制度がスタートすると、企業が仕入れ先などから請求書をもらう場合に「適格請求書」でなければ仕入税額控除ができなくなります。

インボイス番号が請求書発行に求められる

適格請求書には、13桁のインボイス番号(登録番号)を記載する必要があります。適格請求書を発行できるのは適格請求事業者として登録した課税事業者のみです。免税事業者は適格請求事業者に登録できません。

したがって免税事業者の場合はインボイス登録、すなわち課税事業者としての届け出が必要になります。

登録と免税事業者の関係

取引先が課税事業者であれば、仕入税額控除のため、インボイス登録を要求されることも考えられるでしょう。課税事業者である企業などから健康診断や人間ドックなどを請け負っているような医療機関もこの対象です。

インボイス登録をしない場合、取引をインボイス登録事業者に変更されたり、消費税額分の値下げ等を要求される可能性もあります。免税事業者にとっては大きな負担となる懸念があるため、課税事業者を選択することも検討しなくてはならないかもしれません。

期限延長のインボイス|登録後に注意すべき点

仮にインボイス登録をすることになったらどうすればいいのでしょうか?適格請求書に対応した経理事務などの業務負担の確認を、ここで行いましょう。

登録をするべきか迷ったら取引先との関係を考えよう

現在免税事業者の場合、インボイス制度に登録すべきか迷った場合は、現状の取引先との関係や仮に課税事業者になった場合などを考えましょう。取引先が非課税事業者や一般消費者の場合は相手も仕入税額控除をする必要がないため、インボイス登録を慌てる必要はないかもしれません。

一方、相手が課税事業者の場合、通常は登録番号入りの請求書発行を望んでいると推測されます。取引先からインボイスによる負担を負ってでも取引したいと思われている場合や力関係次第では、すぐに登録せずまずは取引先に相談してみましょう!

課税事業者になるときの注意点を知ろう

課税事業者となって、インボイス登録を行えば、これまで支払う必要のなかった消費税の差額分の納税義務が発生します。ただし、今回課税事業者となった場合は、2026年9月30日までの3年間の消費税の納税は、受け取った消費税額の2割でよいとする、いわゆる「2割特例」の経過措置が取られています。

ほかにも、簡易課税が利用できれば、消費税の納税計算をみなし仕入れ率を用いて簡易に計算ができます。

※簡易課税制度 注釈
簡易課税制度は、中小企業や個人事業主などの小規模事業者が利用できる税制です。収入に対して一定の割合を課税し、煩雑な帳簿や確定申告の手続きを簡素化します。所得や経費の明細を詳細に記録する必要がなく、簡易な計算方法で税金を計算できます。この制度により、事業者は税務手続きにかかる負担を軽減することができます。

請求書などの書式変更をしよう

2019年10月1日から導入された消費税の軽減税率に対応し、軽減税率に対応するものを明示し、8%と10%に分けて記載しています。

これは、区分記載請求書等保存方式に代わる適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度と呼ばれるものです。インボイス制度がスタートすると、請求書の書式は今までの記載事項に加えて適用税率と適用税率ごとに区分して合計した消費税額、登録番号を記載したものに変更する必要があります。

経理・会計処理の対応を考えよう

インボイス制度への移行にともない、販売先への請求書発行業務や自社の仕入れ先からもらう請求書の処理などが適格請求書に対応できるよう業務を見直す必要があります。

経理・会計ソフトなどの設定や扱い方については担当者によく相談しておき、経理事務担当の教育研修を前もって実施するなど早めに対策しておくのがおすすめですよ!

インボイス制度についても、それ以外でも、
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