親から不動産を譲り受けるなら「贈与」と「売買」どっちが得?親子間での不動産移転を徹底解説
こんにちは!
大阪の税理士 グロースリンク税理士法人大阪オフィスです。
親御さんからご実家や投資用不動産を譲り受けたいと考えたとき、贈与にするか、それとも売買にするかという選択肢に直面し、立ち止まってしまう方は少なくありません。
「税金が一番安く済む方法は?」「将来の相続でトラブルにならないか?」
多くの方が抱えるこの疑問。
特に不動産は高額な資産ですので、選択を誤ると数百万円単位で税負担が変わる可能性もあります。
今回は、親子間で不動産を移す際の「贈与」と「売買」それぞれのメリット・デメリットを踏まえながら解説します。
費用・税金で比較!「贈与」と「売買」の基本的な違い

親子間での不動産の移転は、法的には「贈与」または「売買」のいずれかの方法で行われます。
それぞれ、適用される税金や発生する費用が大きく異なります。
1. 贈与(無償で渡す場合)
贈与とは、親御さんの財産をお子さんへ無償で与えることを指します。
名義を変えるだけで金銭のやり取りがないため、手続き自体はシンプルですが、税金面で最も注意が必要な方法です。
💡費用面で見る「贈与」の負担
【課税される税金: 贈与税 】
暦年贈与の場合、年間110万円の基礎控除を超えた部分に課税されます。不動産のような高額な資産を一度に贈与すると、税率が非常に高いため(最大55%)、売買と比較して税負担が著しく重くなるケースが一般的です。
【その他の費用:不動産取得税、登録免許税、司法書士の登記費用】
- 不動産取得税: 不動産を取得したこと自体に課税される地方税です。贈与の場合、原則として固定資産税評価額に対して4%(住宅や宅地など特例が適用する場合は軽減あり)の税率が適用されます。
- 登録免許税: 不動産の名義変更(所有権移転登記)を行う際にかかる税金です。贈与による所有権移転の税率は、固定資産税評価額に対して2%と、売買による移転登記に比べて高くなることが多いです。
- 司法書士の登記費用: 登記手続きを専門家である司法書士に依頼する際の報酬です。これは税金とは別に、手続き代行費用として必ず発生する費用です。
💡「贈与」のメリットとデメリット
贈与は、特に特定の特例を活用したい場合に検討されますが、リスクも伴います。
【メリット】
特定の非課税枠や制度を利用できる点です。
具体的には、2024年改正で使い勝手が向上した相続時精算課税制度(年間110万円の特別控除枠が新設)や、婚姻期間20年以上の夫婦間で適用できる居住用不動産の配偶者控除(おしどり贈与)など、要件を満たせば贈与税を抑えられる可能性があります。
【デメリット】
暦年贈与の税率が高いため、特例を適用せずに不動産全体を移転すると、多額の贈与税が発生してしまい、結果的に納税資金に困る事態にもなりかねません。
2. 親子間売買(有償で譲渡する場合)
親子間売買とは、親族間であっても、市場価格に近い対価を支払って不動産を譲り受けることです。
これにより、無償の贈与ではなく「売買」として税務上の取り扱いを受けることができます。
💡費用面で見る「親子間売買」の負担
親子間売買は、贈与税という重い税負担を回避できる一方で、譲渡側と取得側の両方に税金や費用が発生します。
【課税される税金(譲渡側:親御さん): 譲渡所得税 】
親御さんが不動産を売却し、購入時より値上がりして利益(譲渡益)が出た場合に課税されます。
この譲渡益に対する所得税・住民税が譲渡所得税です。
特に取得時期が古い不動産では、取得費が低く抑えられているため、利益が出やすく課税される可能性が高くなります。
【課税される税金(取得側:お子さん)】
原則として贈与税や所得税は発生しない 適正な価格で取引し、代金を支払っているため、お子さん側に贈与税はかかりません。
【その他の費用:不動産取得税、登録免許税、司法書士の登記費用】
- 不動産取得税: 贈与と同様に発生しますが、売買の場合は軽減税率が適用される特例があるため、贈与より税額が低くなるケースがあります。
- 登録免許税: 登記費用も発生しますが、所有権移転登記の税率は、売買の場合、贈与よりも軽減された税率が適用されることがあります。
- 司法書士の登記費用: 登記手続き代行費用として発生します。
💡「親子間売買」のメリットとデメリット
親子間売買は税金面でのメリットが大きい一方で、「適正な取引」であると認められるためのリスク管理が重要になります。
【メリット】
- 贈与税を回避できる: 暦年贈与の重い税負担を回避できる点が最大のメリットです。
- 親御さんの資金確保: 親御さんがまとまった売却資金を得ることができ、老後の生活資金や、他の相続人への財産分配(代償分割の原資)に充てることが可能です。
【デメリット】
- 「みなし贈与」のリスク: 税務当局に「贈与」と見なされないよう、市場価格(時価)に近い適正な売買価格で取引することが必須です。価格が安価すぎると、時価との差額に対して贈与税が課されるリスクがあります。
- 親御さんの譲渡所得税: 親御さんに多額の譲渡益が出た場合、その税負担が贈与税回避のメリットを上回ってしまう可能性があり、総合的なシミュレーションが必要です。
- ローン利用の困難さ: 親族間売買に対して融資に消極的な金融機関が多いため、お子さんが住宅ローンなどを利用しにくい場合があります。
【結論】結局どっちが得?判断を分ける3つの視点
費用面から見ると、多くの場合、適正価格での親子間売買の方が、高額な贈与税を回避できる点で有利になるケースが多いです。しかし、「売買」が常にベストというわけではありません。以下の3つの視点で検討することが重要です。
| 視点 | 贈与が有利になるケース | 売買が有利になるケース |
| 1. 資金調達 | お子さんに資金がなく、特例(おしどり贈与など)の要件を満たす場合。 | お子さんが資金を用意できるか、ローンを組める場合。 |
| 2. 親の税負担 | 親御さんが譲渡損を出し、譲渡所得税が発生しない場合。 | 親御さんが譲渡益を出しても、贈与税を払うより税負担が軽い場合。 |
| 3. 移転の目的 | 相続時精算課税制度を利用して、将来の相続財産を確実に減らしたい場合。 | 不動産全体を一度に移転し、資金の流動性も確保したい場合。 |
最新税制を踏まえた「親子間売買」活用のポイント(2025年版)
「売買」を選択した場合、税務当局に「贈与」ではなく「売買」として認めてもらうためには、以下の点を徹底する必要があります。
これらの要件を満たさないと、結局「みなし贈与」と判断され、巨額の贈与税を課されるリスクがあります。
- ポイント1:適正な売買価格の設定
不動産鑑定士や業者査定など、客観的な裏付けのある時価で取引すること。 - ポイント2:金銭の授受の証拠:
実際に売買代金が親子の口座間で移動した預金通帳などの履歴を必ず残すこと。 - ポイント3:親の譲渡所得税の計算:
親御さんに譲渡益が出た場合、その譲渡所得税(所有期間5年超か否かで税率が異なる)も総合的に考慮して判断すること。
まとめ:早めの専門家への相談が未来の安心につながる
親子間で不動産を移転する際、「贈与」と「売買」のどちらがベストかは、不動産の評価額、親御さんの譲渡所得の有無、お子さんの資金調達能力、そして将来の相続対策を総合的に判断して決定する必要があります。
まずはご自身の状況で「贈与」と「売買」の税負担額がどうなるのかを正確にシミュレーションすることが、最も後悔のない選択をするための第一歩となります。
早めのシミュレーションと対策こそが、将来の税負担を最小限に抑え、親族間の円満な資産承継を実現する鍵となるので、専門家に相談してみましょう。
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このコラムのまとめ
- 親子間不動産移転は、高額な贈与税を回避できる「適正価格での売買」が有利なケースが多い。
- 売買と認められるには、価格の客観的な裏付けと確実な金銭授受の証拠が必要不可欠。
- 税負担のシミュレーションと将来の対策のため、相続・資産税に強い専門家に早期に相談すべき。
大阪梅田で相続・資産税に関するお悩みがございましたら、グロースリンク税理士法人にぜひご相談ください!
