年末調整と定額減税
こんにちは。グロースリンク税理士法人・大阪事務所 古賀です。
今年も残すところ1月半、来月は年末調整が始まります。
今年の年末調整は定額減税(年調減税)の計算があり、各用紙の記載箇所が少し増えていますので注意が必要です。
今回は、所得税に対する定額減税(年調減税額)についてお知らせいたします。
そもそも定額減税とは
・定額減税
給与所得者の方に対する定額減税は、原則として令和6年6月1日以後に支払われる給与等に対する源泉徴収税額から定額減税額が控除される方法で行われます。
・定額減税額
令和6年分所得税について、定額による所得税額の特別控除の適用することです。
特別控除の額は、次の金額の合計額です。
ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、その所得税額が限度となります。
1 本人(居住者に限ります。) 30,000円
2 同一生計配偶者または扶養親族(いずれも居住者に限ります。)1人につき30,000円
では、年調減税とは
年調減税事務では、定額減税額に基づき年末調整時点の年間の所得税額の精算を⾏います。
★対象者の確認
年末調整の対象となる⼈が、原則として、年調所得税額(年末調整により算出された所得税 額で、住宅借入⾦等特別控除の適用を受ける場合には、その控除後の⾦額をいいます。以下同じです。)から年調減税額を控除する対象者となります。
ただし、年末調整の対象となる⼈のうち、給与所得以外の所得を含めた合計所得⾦額が 1,805 万円を超えると⾒込まれる⼈については、年調減税額を控除しないで例年の年末調整を⾏います。また、給与収入のみで2,000万円を超える場合は年末調整の対象外となり、確定申告となります。
(注) 年末調整において合計所得⾦額が 1,805 万円を超えるかどうかの判断は、基礎控除申告書により合計所得⾦額を判断します。
★年調減税額の計算
対象者ごとの年調減税額の計算は、「扶養控除等申告書」や「配偶者控除等申告書」などか ら、年末調整時の現況において同一生計配偶者の有無及び扶養親族(いずれも居住者に限ります。)の⼈数を確認し、「本⼈ 30,000 円」と「同一生計配偶者と扶養親族1⼈につき 30,000 円」との合計額になります。
なお、年調減税額の計算のための⼈数に含まれる「同一生計配偶者」は、次のいずれかに該 当する配偶者となります。 ① 「配偶者控除等申告書」に記載された控除対象配偶者 ② 合計所得⾦額が 48 万円以下の配偶者のうち、年調減税額の計算に含める配偶者として「年 末調整に係る定額減税のための申告書」に記載された配偶者
★年調減税額の控除
対象者ごとの年末調整における年調減税額の控除は、住宅借入⾦等特別控除後の所得税額 (年調所得税額)から、その住宅借入⾦等特別控除後の所得税額を限度に⾏います。 また、年調減税額を控除した⾦額に 102.1%を乗じて復興特別所得税を含めた年調年税額を計算します。 計算式は以下の通りです。
年調年税額=(年調所得税額-年調減税額)×102.1%=所得税額(復興特別所得税を含む)
★源泉徴収票への表示
年末調整終了後に作成する「給与所得の源泉徴収票」には、その「(摘要)」欄に、実際に控 除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額×××円」と記載します
また、年調減税額のうち年調所得税額から控除しきれなかった⾦額を「控除外額×××円」控除しきれなかった⾦額がない場合は 「控除外額0円」)と記載します。 さらに、合計所得⾦額が 1,000 万円超である居住者の同一生計配偶者(以下「非控除対象配 偶者」といいます。)分を年調減税額の計算に含めた場合には、上記に加えて「非控除対象配偶者減税有」と記載します。
★年末調整を行っていない源泉徴収票
年末調整を⾏わずに退職、再就職しない場合や、令和6年分の給与の収入⾦額が 2,000 万 円を超えるなどの理由により年末調整の対象とならなかった給与所得者については、その方に係る「給与所得の源泉徴収票」の作成に当たり、「(摘要)」欄には、定額減税等を記載する必要はありません。
今年の年末調整は、ゆとりのある作業スケジュールが必要です。
参照:令和6年分所得税の定額減税のしかた
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0023012-317.pdf