コラム

連れ子は相続人になる?ならない?養子縁組と遺言の上手な使い分け

こんにちは!
大阪の税理士 グロースリンク税理士法人大阪オフィスです。

再婚家庭やステップファミリーのお客様からは、次のようなご不安をよくお聞きします。

「妻の連れ子で血は繋がってないが、何年も一緒に暮らしているので自分の子どもと同じように相続してもらえるんですよね?」
「血縁関係はないが、戸籍上は同じ氏です。養子縁組をしていない場合、相続はどうなりますか?」

一緒に暮らし、生活を共にしてきた「家族」であっても、法律上の親子関係があるかどうかで、相続の取り扱いは大きく変わってしまいます。
今回は、連れ子に相続権がある場合・ない場合の違いと、養子縁組や遺言でどう備えるかをポイントを絞って整理します。

連れ子には原則「相続権はない」カギは養子縁組

まず押さえたいのは、結婚相手の連れ子には原則として相続権がないという点です。
たとえば、夫が再婚し、妻が前の結婚の子どもを連れてきたケース。
夫と連れ子の間には法律上の親子関係がないため、長年一緒に暮らしていても夫の相続では連れ子は法定相続人になりません。
あくまで「義理の親子」にとどまります。

ここで重要になるのが養子縁組です。

養子縁組をしていない連れ子: 義理の親の相続人にはならない

養子縁組をした連れ子: 法律上の子どもとして実子と同じ相続人になる

「戸籍の氏が同じ=親子」と誤解されがちですが、氏が変わっただけでは相続権は生まれません
親子関係が生じるのは、あくまで養子縁組をしたときです。

なお、養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。
連れ子との縁組で一般的なのは普通養子縁組で、実親との親子関係を残したまま養親との親子関係が追加されます。
特別養子縁組は家庭裁判所の審判を経るもので、原則として実親との親子関係が終了し、養親のみが親となる点が異なります。

養子縁組をした連れ子の相続権と注意ポイント

連れ子と養子縁組をすると、その連れ子は「養子」として、相続では実子と同じ第一順位の法定相続人になります。
たとえば、次のような家族構成をイメージしてみます。

この場合、夫が亡くなったときの相続人は「妻+子ども3人(実子2人+養子1人)」となり、子ども3人の相続分は同じです。
普通養子縁組であれば、その連れ子は「実親」と「養親」双方から相続できる可能性もあります。
一方、特別養子縁組では主に養親側の相続を考えることになります。

注意したいのは、養子縁組をすると法定相続人の数が増えるため、他の相続人の取り分が相対的に小さくなることです。
相続税の基礎控除額が増えるメリットはあるものの、「実子の取り分が減る」と感じる家族も出てきます。
連れ子との関係だけでなく、他の家族の受け止め方も含めて検討することが大切です。

養子縁組をしない場合に連れ子へ財産を残す方法

「気持ちとしては連れ子にも残したいが、事情があって養子縁組までは踏み切れない」
「すでに成人した子ども同士の関係を考えると、今から養子縁組は悩ましい」

こうした場合でも、連れ子に何も残せないわけではありません。
養子縁組をしないまま財産を渡したいときは、遺言による「遺贈」を使います。
たとえば、遺言書で「自分の財産のうち○○万円を、妻の連れ子△△に遺贈する」と書いておけば、連れ子を法定相続人としなくても特定の財産を渡すことができます。

この場合、連れ子は法定相続人ではないため、遺留分(最低限の取り分)はありません。
受け取れるのは、遺言で指定した範囲に限られます。

一方、養子縁組をして連れ子を法定相続人にした場合は、他の子どもと同じように遺留分も発生します。
「法定相続人としてしっかり権利を持たせるのか」「特定の財産だけを遺贈するのか」は、家族構成や年齢、今後の生活設計なども踏まえて選ぶことになります。

まとめ

連れ子がいるご家庭の相続では、養子縁組をしているかどうかが相続権の有無を分ける大きなポイントです。
養子縁組をすれば実子と同じ相続人となり、普通養子縁組であれば実親と養親の両方から相続できる可能性が出てきます。
一方、養子縁組をしない場合、連れ子は義理の親の法定相続人にはならず、遺贈など別の手当てが必要です。

どちらが正解という答えはなく、ご家庭の事情や価値観によって最適な形は変わります。「連れ子への気持ち」「ほかの家族の納得感」「税金や将来の生活への影響」などを整理しながら、余裕のあるうちに話し合っておきたいところです。

連れ子への想いを大切にしつつ、残される家族全員が納得できる相続にしたいとお考えの際は、具体的な制度や税金の整理も含めて、ぜひグロースリンク税理士法人へご相談ください。

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このコラムのまとめ

  • 連れ子には原則として義理の親の相続権はなく、養子縁組をして初めて実子と同じ相続人として扱われる。
  • 普通養子縁組と特別養子縁組では、実親との親子関係や相続できる範囲が異なるため、家族全体のバランスを見ながら選ぶことが重要。
  • 養子縁組が難しい場合でも、遺言による遺贈などで連れ子に財産を残すことができるので、早めに方針を決めておくと安心。