コラム

贈与税と相続税、どちらが得か?制度と税率の違いから考える、最適な資産の渡し方

こんにちは!
大阪の税理士 グロースリンク税理士法人大阪オフィスです。

将来のための“贈り方”、正しく選べていますか?「そろそろ子どもに財産を贈っておいた方がいいかな…」
ご両親や祖父母から、こんな相談を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。

贈与と相続。どちらも大切な人に財産を渡す手段ですが、税金のかかり方や制度上のメリット・デメリットは大きく異なります。
一見すると「早めに贈った方が節税になりそう」と思いがちですが、実は安易な贈与はかえって税負担を増やしてしまうケースも少なくありません。

今回は、贈与税と相続税の違いとそれぞれのメリット・注意点を解説します。

贈与税と相続税の基本的な違い

まずは制度の基本を押さえましょう。

区分贈与税相続税
課税タイミング生前に財産を渡すと課税死亡時に財産を渡すと課税
基礎控除年間110万円まで非課税3,000万円+600万円×法定相続人
税率最大55%(累進課税)最大55%(累進課税)
特例住宅取得・教育資金贈与など配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例など

贈与税は、少額ずつ長期的に贈る場合に向いています。
一方で相続税は、大きな財産を一括で引き継ぐときに有利な特例が多く用意されています。

制度改正や各種特例も踏まえて判断を

近年、税制改正の影響により「生前贈与」への課税は厳しくなる傾向にあります。

💡相続財産への「持ち戻し期間」が7年に拡大

2024年から段階的に導入されている改正により、2024年以降は生前贈与された財産のうち、死亡前7年以内の贈与分は相続財産として扱われるようになります(これまでは3年以内)。
これにより、たとえ生前に贈与していても、相続時にまとめて課税されるリスクが高まりました。

つまり、「早めに贈っておけば節税になる」は通用しにくい時代に入っているのです。

💡税率だけでなく“将来の家族構成”にも注目を

相続と贈与は「いまの税率」だけで優劣が決まるものではありません。
相続税は基礎控除や各種特例(配偶者控除・小規模宅地等)により有利に見える局面が多い一方、家族構成の変化承継したい目的によって、最適解が変わります。
以下の視点で全体設計を描きましょう。

贈与が向いているケース

  • 少額を複数年に分けて贈与できる場合
  • 教育資金・住宅取得など特定の目的で非課税制度を活用する場合
  • 将来の相続人が多数いて、遺産分割トラブルを避けたい場合

相続が向いているケース

  • まとまった財産を配偶者・子どもに引き継がせる場合
  • 相続税の配偶者控除や小規模宅地特例を適用できる場合
  • 贈与よりも手続きの煩雑さを避けたい場合

まとめ:どちらが得かは「目的と時期」で変わる

贈与と相続、どちらが得か?という問いに対する答えは、「人それぞれ」です。

  • 財産の内容(不動産か現金か)
  • 相続人の人数や関係性
  • 近年の税制変更
  • ご家族の将来像(教育資金、住宅取得など)

こうした条件を総合的に判断し、最も無駄のない方法を選ぶことが重要です。
また、「今はどちらが有利か?」ではなく、「5年後・10年後に備えてどう分けるか?」という視点を持つことが、失敗しない資産承継への第一歩です。

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このコラムのまとめ

  • 贈与税と相続税は仕組み・特例・税率が大きく異なる。
  • 2025年からは贈与の税務上の不利が増しており要注意。
  • 長期的な視点と専門家の助言が、最良の選択につながる。