コラム

自宅の相続にかかる税金はいくら?知らないと損する「居住用宅地」特例のポイント

こんにちは!
大阪の税理士 グロースリンク税理士法人大阪オフィスです。

「実家を相続したら、税金がこんなにかかるなんて…!」
相続のご相談で、最も多い驚きのひとつが“自宅の相続税”です。

親が住んでいたマイホーム。
長年住み慣れた家をそのまま引き継ぐつもりでも、土地や建物の評価額によっては数百万円単位の税金が発生することもあります。
しかし、相続税の世界には「自宅の土地」を大幅に減額できる小規模宅地等の特例という強力な制度があります。


今回は、自宅の相続にかかる税金をわかりやすく解説します。

自宅を相続するときの基本的な税金

自宅(居住用不動産)を相続した場合に関係する主な税金は次の3つです。

  1. 相続税:亡くなった方の財産に対してかかる税金
  2. 登録免許税・不動産取得税:名義変更の際にかかる税金
  3. 将来の譲渡所得税:相続後に売却したときにかかる税金

このうち、最も影響が大きいのが①相続税です。

相続税の計算の流れ

相続税は、遺産の全体像を評価し、控除で課税対象を絞り込み、残額に税率を当てはめるという順序で算出します。 具体的には次のステップです。

  • STEP1:亡くなった方の財産(預金・土地・建物・有価証券など)を 時価で評価する。
  • STEP2:評価額の合計から 基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を 差し引く。
  • STEP3:残額を 法定相続割合で按分し、各人に 税率を適用して合計する。

では、実際の数値を使って流れを確認してみましょう。

具体例(概算)

  • 土地4,000万円+建物1,000万円、相続人2人(特例は使わない前提)
  • 基礎控除:4,200万円(3,000万円+600万円×2人)
  • 課税対象:800万円(5,000万円 − 4,200万円)
  • 税率10% ⇒ 相続税は 約80万円

ただしここからが重要! この“素の計算”から、小規模宅地等の特例適用できれば、税額はさらに大きく下げられる可能性があります。

最大80%OFF!「小規模宅地等の特例」

自宅の土地(居住用宅地)については、次の条件を満たすと評価額の80%を減額が可能です。

【主な適用条件】

  • 被相続人(亡くなった方)の自宅であること
  • 相続人が引き続き居住していること
  • 配偶者または同居の親族が相続すること

たとえば、評価額4,000万円の土地でも、この特例を使えば評価額は800万円まで下がり、結果として相続税がゼロになるケースも多いのです。

注意点

  • 対象・取得者要件:被相続人が住んでいた宅地が対象。取得者は配偶者/同居親族/“家なき子”(3年内に自己・配偶者の持家なし等)。
  • 減額範囲:居住用部分のみ、最大330㎡まで80%評価減(併用・混在は按分)。
  • 期間・手続:申告期限まで譲渡・賃貸・転用しないこと+相続税申告での適用届出が必須。

近年の税務調査では「同居の実態」「生計一の証明」が細かく確認される傾向があり、形式だけの住所移転では認められない点に注意が必要です。

 贈与・生前対策を組み合わせると効果大

2024年から始まった相続時精算課税の改正により、生前贈与を活用した相続対策がしやすくなりました。

  • 年110万円までの贈与でも、相続時精算課税と併用が可能
  • 将来の相続税に反映されるが、早めに名義移転ができる
  • 「自宅+土地の共有」など、段階的な対策も現実的に

つまり、「親が元気なうちに贈与」「亡くなった後は小規模宅地特例」という2段階構成で進めると、節税効果と相続の円滑化を両立できます。

まとめ:相続後では遅い、今から備えることが大切

相続税は“亡くなってからの対応”では間に合わないことが多い税金です。
特に土地や自宅があるご家庭では、評価額の見直し・登記の整理・遺言書の整備など、早期準備が効果的です。

「うちは相続税がかかるのかな?」と思ったら、まずは自宅の評価額と特例適用の可否を専門家に確認してみましょう。
大阪・梅田で相続のご相談なら、グロースリンク税理士法人へ。
相続税申告から生前対策、土地評価の見直しまで、ワンストップでサポートいたします!

このコラムのまとめ

  • 自宅の相続では「相続税」「名義変更税」「将来の譲渡税」が関係する。
  • 小規模宅地等の特例で最大80%減額が可能。
  • 生前贈与と組み合わせることで、節税と円滑な承継が実現できる。